富士登山駅伝2023 5区7区

富士登山駅伝とは

世界一過酷な駅伝と称される駅伝がある。その名も富士登山駅伝。
御殿場市陸上競技場から富士山山頂を折り返す、距離48km、標高差3199mを6人で繋ぐ。
6区の走者以外、登りと下り(往路と復路)2回走る。
標高差3199mの駅伝は世界でも類はなく、世界一を誇る。世界一過酷な駅伝と言われる所以である。
秩父宮様の名前を冠した由緒ある駅伝大会。2023年で48回目を数える。
部門は自衛隊の部と一般の部に分かれ、2023年は自衛隊28チーム、一般の部69チームがエントリーした。
8:00スタート、12:00繰り上げスタート(8区太郎坊中継所)、14:30閉会式というスケジュール。

コース

富士登山駅伝はロード区間と山岳区間に分かれる。
ロード区間は往路1~3区、復路9~11区。
山岳区間は往路4~6区、復路6~8区。
ロード区間と言っても2区の平均斜度は7.5%、3区は8.1%なので、斜度10%程度でもしっかり走り切れる登坂力も求められる。
また標高も1000m前後になるのでレース終盤で酸欠に苦しむ人もいる。
山岳区間は4,5区は蟻地獄のような砂礫を、6区は岩とガレ場の登山道を進む。また平均斜度は20%以上なので登坂力と、高度順応が求められる。
特に6区は高度順応のため、駅伝前日に標高3000mの山小屋泊が必須になっている。そのため土曜日の開会式後にバスに乗り富士宮登山口に移動、自力で山小屋へ。山小屋宿泊費は1泊1万円で自己負担となっている。

5・7区

そんな富士登山駅伝に自分は5・7区として参加、走らせて頂いた。区間の概要は次の通り。

5区(登り):距離4.24km、標高差1017m、平均斜度24%、走行時間は約1時間。全区間のうち走行時間が最も長いため各チームのトレイルランのエースが走る。
7区(下り):距離3.66km、標高差1017m、平均斜度28%、走行時間は約10分。大砂走りを下るため、登りより距離が短い。

練習は1.5カ月前くらいから本格的に始めた。内容は次の通り。

平日:60分走、坂ダッシュ、峠走、ジョグ、低酸素室でトレッドミル。これを当日の体調と相談しながらグルグル回した。
週末:現地試走、山頂で坂ダッシュ10本

効果の高かった練習

個人的には現地試走が一番効果が高かったと感じている。理由は次の通り。

  1. 本番の環境により近い状況で走れるから
  2. 自分より速いトレイルランナー(自衛隊など)が練習していて刺激になるから
  3. 目標タイム(60分)と現状のGAPを客観的に把握できるから
  4. 標高2000~3000mの砂礫を走れる環境は他にはないから
  5. 山頂の坂ダッシュ

自分はソロで練習することが多いため本番環境で追い込んでいるランナーの存在は刺激になるし、抜かれると自分より速いランナーの走りを目の当たりにでき、走りの違いは自身の走り(フォーム、歩幅、ケイデンス)を振り返るのに大いに参考になった。
また、登るほどに酸素濃度が薄くなるため、心拍が上がっていく中で走れるようになるための高度順応は非常に重要だった。
そして何より毎回タイムトライアルを繰り返しては目標に全く届かず、打ちのめされたことがよかった。毎回課題が見つかったことで平日練は目的意識がはっきりした。

尚、トライアルの記録は以下の通り。

トライアル結果
1回目93分→2回目75分→3回目74分→4回目67分→5回目71分→本番60分切り(目標達成)

トライアルの後は時間があって天候が荒れていなければ山頂まで行って坂ダッシュを10本実施した。はじめのうちはスグに酸欠状態となって最後はジョグになっても、とにかくもがいて足を動かし続けるとよかった。試走の度に高度が上がっても体が動きやすくなったことを感じた。

下りコースの試走はほとんどしなかった。理由はハイカーさんがいて危険なため。ほぼ歩いて下山した。その際に砂礫の中に岩がゴロゴロしていたり、急に道が細くなっているところだったり危険ゾーンの様子を毎回チェックするくらいだった。当日は足を置く位置の判断を早くすることと、捻挫対策をして十分注意してから臨み、下りの恐怖心と闘いながら無事10分を切ることができた。

まとめ

5区は走路が砂礫で標高2000~3000m以上なので同じ環境を再現できる代替コースが見つけにくい。それ故に移動に時間が掛かっても試走に行く価値はある。
そしてトライアルの後は大変だけど山頂まで行ってハイカーさんの邪魔にならないところで坂ダッシュをすることがおすすめ。

以上、この記事を読まれた方の一助となれば幸甚です。

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