マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説とは

人の動機付けや満足度の向上を目指す場面で用いることができる、アブラハム・マズローによって提唱されたもっとも有名な理論です。
人間の欲求を5つの段階によって分類し、それらが重要性に従って階層になっていると考えます。
従業員や部下の動機付けや、満足度の向上を目指すなど、様々な局面で役立てることができます。
マズローは人間は自己成長を求める性質を持つと仮定しました。
そしてこうした考えのもと「生理的欲求を満たした人間は、安全の欲求を求めるようになる」というように、下の階層の欲求を満たすと上の階層の欲求を満たそうとします。

生理的欲求とは

食欲や睡眠欲など最も原始的な欲求のことです。

安全欲求とは

安全安心な生活を求める欲求のことです。
具体的には経済的な安定、健康の維持、治安の良さ、事故リスクの低さなどを求めることです。

所属と愛の欲求とは

社会的欲求ともいわれます。自分が社会に求められていると感じることや、社会やコミュニティに属して心の安定を得たいという欲求がこれに当たります。
SNSなどでつながりを求めようとするのはこの欲求に訴えかけています。

承認欲求とは

他社から尊敬・承認されたいという欲求のことです。
低次のものと高次のものがあります。
低次のものとは、名声や注目を浴びたいなど、表面的なものにとどまります。

高次のものとは、自己肯定感や、自分自身の評価の高さを求めるものです。
マズローは低次の承認欲求がより大切だと結論付けました。

自己実現欲求とは

「自分の能力を最大限発揮し、為すべきことを成し遂げたい!」と欲求することです。
マズローはこの欲求を最上位に位置付けました。
この欲求を満たすことが幸せに近づけるとしました。
  • 物質的欲求 → 生理的欲求、安全欲求
  • 精神的欲求 → 所属と愛の欲求 承認欲求 自己実現欲求

事例

あるコーヒーショップの新人スタッフ定着に向けた取り組みです。
時給は相場並み、店舗の立地もよい、清潔さなどにも配慮されており、物質的欲求は特に問題ありません。
店舗スタッフ間の人間関係において問題がありそう、新人スタッフは孤独感を感じている様子です。
そのため「所属と愛の欲求」が満たされていないように見受けられます。
店長は若手にこまめに話しかけたり、仕事の相談に乗るなどの配慮が必要そうです。
「承認欲求」に目を向けると、新人スタッフはバックヤードでの片づけが仕事の中心で、周囲の人間から労いの言葉がかけられる機会が少ないようです。
忙しい時にだけレジの応援に駆り出されることがあるが、長い待ち時間で苛立ったお客さんが多く、なかなか接客する喜びは感じられないようです。
裏方の仕事を認める機会を作ったり、日ごろから接客をする機会を設けて、お客さんとのやり取りを通して承認欲求を満たすことも効果がありそうです。
自己実現欲求については不明ですが、店長は長く働いてお店の主戦力として働いてほしいと考えているのであれば、関心を持っておきたいところです。
もしもアルバイトスタッフが求めている将来に役立つ業務がコーヒー店に存在するのであれば、そのような機会を積極的に提供することも一案です。

まとめ

低次の欲求が完全に満たされないと高次の欲求を抱くに至らないということがあります。
実際には安全欲求が満たされない厳しい状況にあっても、承認欲求を求めて仕事をする、などといった状況は見受けられます。
低次の要求があまりに満たされていない状況で、高次の欲求を満たそうとしても、効果が出にくいのは確かです。
しかし一方で100%満たす必要はないという割り切りを持つことも重要です。
もう一点、最も高い欲求である自己実現欲求については、すべての従業員の多様な自己実現欲求を満たすというのは大変難しいことです。
実際には自己実現欲求を意識しながらも承認欲求を社会的欲求を満たすことで、従業員を動機づけることはできます。
ある程度の割り切りを持ちつつも、活用していきましょう。

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